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東京都心オフィス空室率2.20%・賃料+8.19% — 27ヶ月連続上昇とREIT投資家への含意

市場・税制最終更新日: 2026年5月20日

東京都心オフィス市場が「実質満室」状態 — 空室率2.20%・賃料+8.19%

三鬼商事が発表した2026年4月時点の東京ビジネス地区(千代田・中央・港・新宿・渋谷の都心5区)データによると、 平均空室率は2.20%(前月比▲0.02ポイント)まで低下しました。 平均賃料は22,454円/坪で、前年同月比+8.19%(+1,699円)、前月比+0.68%(+152円)上昇しています。 賃料は実質的に27ヶ月連続上昇という長期トレンドに入っており、コロナ以降の在宅シフトの揺り戻し、 企業の出社回帰、「価値創造の場」としてのオフィス再評価という需要側の構造変化が背景にあります。 住宅・物流とは別サイクルで動くオフィス市場の現状を投資家視点で整理します。

区別データに見える「都心の中の二極化」

都心5区の中でも需給と賃料水準は明確に分かれています。

空室率(前月比)平均賃料(円/坪)
渋谷1.39%(+0.12pt)25,124円
千代田1.42%(+0.07pt)24,119円
2.54%(▲0.15pt)22,622円
新宿2.61%(▲0.04pt)19,993円
中央2.92%(+0.05pt)20,655円

渋谷・千代田は空室率1%台で実質満室、賃料も24,000-25,000円/坪と最上位ゾーンに位置しています。 港・新宿・中央は2%台で需給バランスがやや緩んでいますが、いずれも完全な「貸し手市場」です。 新築ビルの空室率は12.11%とまだ余裕がありますが、これは竣工直後の段階的なテナント入居を反映したもので、 既存ビル空室率2.02%とのギャップは構造的な需給逼迫を示しています。

2026年は7万坪の新規供給 — それでも賃料は上昇予想

2026年は東京都心で約7万坪のオフィス大量供給が予定されています。 通常であれば供給ショックで空室率上昇・賃料下落シナリオが想定されますが、JLLや三井住友信託銀行などの調査では リーシング(テナント募集)が好調なため、空室率は3.5%程度までしか上昇せず、賃料は前年比+1.6%の上昇継続と予測されています。 企業側が「単なる作業場」ではなく「価値を創造する場所」としてのオフィスを求める流れが加速し、 高スペックな新築ビルへの需要が集中している構造です。 一方、ハイスペックでないBクラスビルや郊外オフィスは引き続き需要が薄く、市場の二極化はさらに進む可能性があります。

個人投資家がオフィス市場にアクセスする3つのルート

オフィスビルは1棟数百億円規模の超大型不動産であり、個人投資家が現物で取得することは現実的ではありません。 ただし、物流不動産と同様に、間接的にアクセスする選択肢があります。

1. オフィス系J-REIT
日本ビルファンド投資法人、ジャパンリアルエステイト投資法人、オリックス不動産投資法人などの総合REITはオフィス比率が高い銘柄が多くあります。 分配金利回りは2026年5月時点で4%前後。賃料上昇局面では物件評価額の見直しが進み、NAV(純資産価値)上振れも期待できます。J-REITとクラファンガイドで 全体像を整理しています。

2. オフィス特化型クラウドファンディング
中小規模のオフィスビルを裏付け資産にしたクラウドファンディングが存在します。1口1万円から、運用期間1-3年が一般的です。 現物オフィスへのアクセスとしては最小単位ですが、流動性は限定的で途中解約は原則不可です。

3. 中小規模オフィスビル(事業用一棟)
都心5区のSクラス・Aクラスは個人投資家対象外ですが、5-15億円規模の中小ビルなら個人法人での取得余地があります。 住宅と異なり1テナントあたりの賃料負担が大きく、退去リスクの集中度が高いため、レンタブル比・テナント分散・契約形態の精査が必須です。リスク統計で 賃料変動・空室変動のリスク評価を行うことが必要です。

投資判断のポイント

1. キャップレートが極めて低い水準にある
都心オフィスのキャップレートは3.0-3.5%台まで低下しており、住宅・物流より約1ポイント低い水準です。 金利上昇局面では出口キャップレート上振れによるNAV下落リスクが大きい点に注意が必要です。

2. 賃料上昇余地はAクラス・Sクラスに集中
実需が集中するのは新築・大型・駅徒歩5分以内の高スペックビル。 郊外・Bクラス・築古中小ビルは需要が薄く、東京内でも需給ギャップが拡大しています。

3. 中長期サイクルの位置認識
2026-2028年は供給増加局面、2029年以降は供給収束見通し。 REIT・クラファン投資でも保有期間とサイクル位置を意識した分散投資が現実的です。

まとめ

東京都心5区のオフィス市場は空室率2.20%・賃料+8.19%・27ヶ月連続上昇という稀有なフェーズに入っています。 2026年7万坪の大量供給があっても賃料上昇継続が予測される需要強度ですが、キャップレートは3%台前半まで低下しており、 REIT等を通じた間接投資ではエントリータイミングとサイクル位置の判断が成否を分けます。 住宅・物流とは異なる需給サイクルで動くオフィスは、ポートフォリオ分散の中で位置付けを明確にすることが重要です。

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