利回り計算ツールの使い方
利回り計算ツールは、物件価格・想定家賃・運営経費を入力することで、表面利回り・実質利回り・NOI利回りの3種類の利回りを同時に計算できるツールです。不動産投資の物件選定において利回りは最も基本的な指標ですが、種類によって意味が大きく異なります。表面利回りだけを見て投資判断をすると、経費を考慮した実質的な収益性を見誤る危険があります。このツールで各利回りの違いを正しく理解し、適切な投資判断に役立ててください。
このツールでできること
- 表面利回り(グロス利回り)の計算:年間家賃収入÷物件価格×100
- 実質利回り(ネット利回り)の計算:(年間家賃収入−年間経費)÷(物件価格+購入諸費用)×100
- NOI利回りの計算:NOI(営業純利益)÷物件価格×100
- 各利回りの比較表示による違いの可視化
- 運営経費の内訳入力による精度の高い実質利回り計算
計算の仕組み
表面利回りは最もシンプルな指標で、「年間家賃収入÷物件価格×100」で算出されます。不動産広告に掲載される利回りは通常この表面利回りです。たとえば物件価格3,000万円、月額家賃15万円(年間180万円)であれば、表面利回りは6.0%となります。しかし、実際の運営では管理費、修繕積立金、固定資産税、火災保険料、空室損などさまざまな経費が発生します。
実質利回りは、これらの経費を差し引いた上で計算します。上記の例で年間経費が50万円、購入諸費用が210万円かかった場合、実質利回りは(180万−50万)÷(3,000万+210万)×100=約4.05%になります。表面利回り6.0%と比べて約2ポイント低下しており、この差が実際の収益性を大きく左右します。NOI利回りは、空室損や運営経費を差し引いたNOI(Net Operating Income:営業純利益)を物件価格で割った指標で、借入条件に左右されない物件そのものの収益力を評価できます。
運営経費の目安として、管理委託費は家賃収入の5%程度、修繕費は築年数や構造により年間家賃の5〜10%、固定資産税は評価額の1.4%+都市計画税0.3%が一般的です。これらを合計すると、年間家賃収入の20〜30%程度が経費となるケースが多く見られます。
活用シーン
複数の物件を比較検討する際に最も効果を発揮します。たとえば、表面利回り8%の地方RC物件と表面利回り5%の都心区分マンションがある場合、経費率を考慮すると実質利回りの差は想像より小さくなることがあります。地方物件は空室リスクが高く管理コストもかさみやすいため、表面利回りの高さだけで判断するのは危険です。本ツールで同じ条件で計算・比較することで、より客観的な判断が可能になります。また、購入後の経費見直しによる利回り改善のシミュレーションにも活用できます。
注意点
- 利回りは投資判断の一要素に過ぎません。立地、将来の資産価値、流動性、融資条件なども総合的に考慮してください
- 想定家賃は周辺相場を十分に調査し、楽観的な見積もりを避けることが重要です
- 空室率は地域や物件タイプにより大きく異なります。全国平均は約20%ですが、都心部は5%以下の場合もあります
- 築年数が古い物件ほど修繕費が増加する傾向があるため、経費の見積もりは保守的に行うことをお勧めします
- 表面利回りが極端に高い物件には、何らかのリスク要因が隠れている場合があります
計算式の詳細
本ツールで使用している計算式を整理します。いずれも実勢の運営シミュレーションで広く採用されている定義に準拠しています。
実質利回り (%) = (年間家賃収入 − 年間運営経費) ÷ (物件価格 + 購入諸費用) × 100
NOI利回り (%) = NOI ÷ 物件価格 × 100
NOI = (年間家賃収入 × (1 − 空室率)) − 年間運営経費
NOIは「Net Operating Income(営業純利益)」の略で、空室損と運営経費を控除した後の収益力を示します。 実質利回りが取得時の初期投資を分母にするのに対し、NOI利回りは物件価格のみで割るため、 複数物件のキャップレート比較(同条件下のリスク比較)に向きます。
入力例とサンプル結果
| 物件タイプ | 価格/年家賃/経費 | 表面 / 実質 / NOI |
|---|---|---|
| 都心区分マンション | 3,000万 / 120万 / 30万 | 4.00% / 約2.80% / 約3.00%(空室率5%想定) |
| 郊外戸建賃貸 | 1,800万 / 120万 / 20万 | 6.67% / 約5.15% / 約5.55% |
| 地方一棟アパート | 5,000万 / 600万 / 180万 | 12.00% / 約7.95% / 約7.92%(空室率15%想定) |
よくある質問
Q1. 不動産広告の利回りはどれ?
A. 多くは表面利回りです。空室率や運営経費が考慮されていないことが多いため、 自分で実質利回り・NOI利回りに変換してから比較するのが安全です。
Q2. 空室率はいくつにすべき?
A. エリアと物件タイプで大きく異なります。東京23区の主要駅徒歩圏は5-10%、 地方政令市の中心部は10-15%、地方郊外は15-25%が目安です。 過去のエリア別利回り分析も参考にしてください。
Q3. NOIに含めるべき経費は?
A. 管理委託費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税、火災保険料、共用部清掃費、エレベーター保守費等の運営費を含めます。 ローン返済(元金・利息)と減価償却は含めません。
Q4. 表面利回り○%以上なら投資成立?
A. 単独の利回り水準だけでは判断できません。DSCR、 IRR、出口価格、流動性を含めた総合評価が必要です。
Q5. 想定家賃が高めだったらどう確認?
A. SUUMO・HOMES・アットホームで同一エリア・同一広さ・同一築年の現行募集賃料を5-10件サンプリングし、中央値で再計算するのが推奨です。