中古マンション投資 — リフォーム費用300万円の回収シミュレーション
リフォーム前の物件状態
今回シミュレーションの対象とするのは、築25年の区分マンション(1LDK・35平米)です。 最寄り駅から徒歩8分、購入価格は1,200万円。立地条件は悪くないものの、 室内設備の老朽化が目立ち、現行家賃は相場よりやや低い6.5万円/月に設定されています。 空室率も15%と高く、年間を通じて約2ヶ月弱の空室期間が発生しています。
| 項目 | リフォーム前 |
|---|---|
| 購入価格 | 1,200万円 |
| 月額家賃 | 6.5万円 |
| 年間家賃収入(GPI) | 78万円 |
| 空室率 | 15% |
| EGI(実効総収入) | 66.3万円 |
| 運営経費(管理費・修繕積立・固都税等) | 約18万円/年 |
| NOI | 約48.3万円/年 |
表面利回りは6.5%(78万 ÷ 1,200万)ですが、空室損と経費を反映した実質NOI利回りは約4.0%にとどまります。利回りの計算方法を理解しておくと、 こうした乖離を正しく把握できます。
リフォーム内容と費用内訳
空室率を改善し、家賃を引き上げるために、300万円のリフォームを実施します。 費用の内訳は以下のとおりです。
| 工事内容 | 詳細 | 費用 |
|---|---|---|
| 水回りリフォーム | ユニットバス交換、キッチン交換、トイレ交換 | 150万円 |
| 内装リフォーム | クロス全面張替、フローリング重ね張り、建具交換 | 100万円 |
| 設備更新 | エアコン2台、インターホン、照明器具 | 50万円 |
| 合計 | 300万円 |
水回りは入居者の満足度に直結する箇所であり、リフォーム投資のROIが最も高い部位の一つです。 費用対効果の詳しい考え方はリフォームROIガイドを参考にしてください。
リフォーム後の収支変化
リフォームにより、家賃を6.5万円から7.8万円へ引き上げ(+20%)、空室率も15%から5%へ改善できた場合を想定します。 周辺の同等リフォーム済み物件の相場(7.5〜8.0万円)を参考にした設定です。
| 項目 | リフォーム前 | リフォーム後 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 月額家賃 | 6.5万円 | 7.8万円 | +1.3万円 |
| 空室率 | 15% | 5% | -10pt |
| EGI | 66.3万円 | 88.9万円 | +22.6万円 |
| 運営経費 | 18万円 | 19万円 | +1万円 |
| NOI | 48.3万円 | 69.9万円 | +21.6万円 |
69.9万円 − 48.3万円 = +21.6万円/年
家賃上昇と空室率改善の相乗効果により、年間NOIは約21.6万円改善します。 運営経費は管理委託費が家賃連動で若干増えるものの、全体への影響は軽微です。
回収期間とIRRへの影響
リフォーム費用300万円を年間改善額21.6万円で割ると、単純回収期間は約13.9年です。 ただし、これは家賃上昇と空室率改善が持続する前提です。
一方、リフォームにより物件の資産価値も向上するため、売却時の出口価格にも好影響があります。 リフォーム後の想定NOI利回り(キャップレート5.5%)で逆算すると、 物件評価額は約1,270万円となり、リフォーム費用を含めた投資総額1,500万円に対して 84.7%の資産価値を維持できます。
10年間保有して売却する場合のIRR(内部収益率)を比較すると、以下のようになります。
| シナリオ | 初期投資 | 年間NOI | 10年後売却額 | IRR |
|---|---|---|---|---|
| リフォームなし | 1,200万円 | 48.3万円 | 900万円 | 1.2% |
| リフォームあり | 1,500万円 | 69.9万円 | 1,100万円 | 2.8% |
IRRはリフォームなしの1.2%からリフォームありの2.8%へと大きく改善します。IRRの計算方法と活用法も合わせて確認してください。
リフォームしない場合のリスク
「300万円も使うなら、そのまま保有し続けた方が良いのでは?」という判断もあり得ます。 しかしリフォームしない場合のリスクも考慮すべきです。
築25年の設備は今後さらに老朽化が進み、突発的な修繕費用(給湯器交換15〜20万円、 排水管清掃5〜10万円など)が発生する可能性が高まります。 また、設備の古さは退去の主要因となるため、空室率がさらに悪化するリスクもあります。 空室率が20%に達すると、年間EGIは62.4万円まで低下し、NOIは44.4万円に減少します。 リフォーム後のNOI(69.9万円)との差は年間25.5万円です。
つまり、「リフォームしないことによる機会損失」も投資判断に組み込む必要があります。 本サイトの投資分析シミュレーションでは、空室率や家賃を変更して 複数シナリオを比較できるため、リフォームの有無による収支の違いを定量的に確認できます。
判断のポイント — いつリフォームすべきか
リフォーム投資は「やれば必ず回収できる」わけではありません。 以下の条件を満たす場合に実施を検討すべきです。
1. 周辺相場との乖離がある
リフォーム後の設定家賃が周辺相場の範囲内であることが前提です。 相場を超える家賃設定では空室が埋まらず、回収計画が破綻します。
2. 築年数と残耐用年数のバランス
築30年を超える物件に300万円の投資をしても、残りの保有期間で回収できない可能性があります。 残耐用年数と回収期間のバランスを見極めてください。
3. 空室の原因が設備にある
空室の原因が立地や周辺環境にある場合、リフォームでは解決しません。 退去理由のヒアリングや管理会社への相談で、空室原因を特定してから投資判断を行いましょう。
4. 出口戦略との整合性
売却を2〜3年以内に予定している場合、リフォームは物件の見栄えと売却価格を向上させる効果がありますが、 賃貸運営での回収は間に合いません。売却目的のリフォームであれば、 買い手の印象に直結する水回りと内装に集中投資し、設備更新は最小限にとどめるのが合理的です。出口戦略ガイドも参考にしてください。
まとめ
リフォーム費用300万円の投資は、適切な条件下であれば年間NOIを約21万円改善し、 IRRを1.6ポイント向上させる効果があります。ただし、回収期間は約14年と長期にわたるため、 保有期間・出口戦略と合わせた総合的な判断が必要です。 一方で、リフォームしないことによる空室率悪化・突発修繕のリスクも見逃せません。 シミュレーションで「リフォームあり/なし」の複数シナリオを比較し、 数字に基づいた意思決定を行いましょう。
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