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【ケーススタディ】郊外築古戸建1,200万円×リフォーム300万 — 戸建賃貸の完済後CFモデル

ケーススタディ最終更新日: 2026年5月14日

想定物件 — 郊外築古戸建1,200万円・リフォーム後賃貸運用

埼玉県・千葉県の郊外、駅徒歩15分、築32年・延床85㎡の中古戸建を想定します。 購入価格1,200万円、想定リフォーム費用300万円、合計1,500万円を投下し、月額家賃8.5万円で賃貸運用するシナリオです。 融資1,000万円・金利2.8%・10年・元利均等で本ツールに入力し検証します。 2024年以降、投資家による戸建賃貸シフトが進んでいる背景は戸建賃貸投資が急拡大で整理しています。

物件価格:1,200万円 / リフォーム:300万円
借入:1,000万円 / 金利2.8% / 10年元利均等
年家賃:102万円 / 空室率:12%
運営経費:管理委託費家賃5% + 修繕費20万円/年 + 固都税8万円
建物按分:1,000万円 / 残存耐用年数:4年(簡便法)

戸建賃貸の収益性 — 区分マンションとの違い

EGI=102万×88%=89.8万円。 運営経費は管理委託費約4.5万+修繕費20万+固都税8万=32.5万円。 NOI=57.3万円。 借入1,000万円・10年返済の年間ADSは約115万円で、運営利益では返済をカバーできません。 ただし、借入額が小さいため税効果込み・自己資金500万円ベースのROIで評価すると違う絵が見えます。

減価償却250万円/年と支払利息(初年約27万円)を経費計上することで、初年度の不動産所得は約−220万円の赤字。 年収700万円(限界税率30%程度)の投資家なら、給与所得との損益通算で年間約66万円の還付が見込めます。 税効果込みのCF=NOI−ADS+税効果=57.3−115+66≒+8万円。薄利ですが黒字を維持できる構造です。

期間年間税後CF主な変化点
1-4年目+8万円減価償却で節税効果あり
5-10年目▲30-40万円償却完了、課税増、返済継続
11年目以降+50万円程度完済後、CFが大きく改善

戸建賃貸が選ばれる5つの理由

国交省や民間調査では、2024年10月以降に投資家が購入した物件の43.4%が戸建賃貸という結果が出ています。背景には以下の5要素があります。

1. ファミリー需要の長期入居:平均入居期間が区分マンションの3年に対し、戸建は6-8年で安定性が高い。
2. 競合の少なさ:戸建賃貸供給は全国でも全賃貸の8%程度で需給ギャップがある。
3. リフォーム自由度:管理組合がないため、設備更新やDIY賃貸スキームが組みやすい。
4. 出口の柔軟性:投資家への売却に加え、自己居住者にも売却できるためマーケットが二倍。
5. 価格帯の参入しやすさ:1,000-2,000万円帯で個人投資家の初物件として組みやすい。

このケースの注意点 — 想定家賃と修繕費の精度

戸建賃貸の最大のリスクは「想定家賃の楽観バイアス」です。 郊外駅徒歩15分の中古戸建で月8.5万円は、同エリアの類似物件と必ず比較する必要があります。 SUUMO・HOMES・アットホームで同条件物件を10件以上サンプリングし、中央値で再評価することが推奨です。

また、リフォーム300万円は壁紙・床・水回り更新の標準工事費ですが、屋根・外壁の改修が必要な場合は+200-300万円が乗ります。 購入前のホームインスペクション(建物状況調査・5-10万円)で構造躯体の健全性を確認することが、想定外コストを抑えるための投資です。

このケースから学ぶ3つの教訓

1. 戸建賃貸は「長期保有・完済後CF」モデル
借入完済まではCFが薄いか赤字。完済後の純CFを目的にした長期保有設計が王道です。

2. 想定家賃の根拠が最大のリスク
類似物件の現行募集賃料を必ず実測してください。

3. リフォーム費の上振れバッファを確保
想定の20-30%増を許容できる自己資金を別途用意することが現実的な備えです。

まとめ

郊外築古戸建×リフォーム×短期償却のスキームは、自己資金500万円規模で参入できる現実的な投資ルートです。 ただし税効果頼みで保有期間中盤は薄利、完済後に純CFが大きく改善するという「長期保有」が前提です。 想定家賃の実測とリフォーム費のバッファ確保が、計算通りに進めるための最大の鍵になります。

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