【データで見る】エリア別・物件種別・築年数別の利回り相場と投資判断
最終更新日: 2026年4月4日(本記事の数値は同日時点の公開データを基準としています)
本ガイドは公的統計・業界調査に基づく市場分析です。投資判断は専門家にご相談のうえ、自己責任でお願いします。
「利回りが高いエリアで買えば儲かる」——これは不動産投資でよくある誤解です。 利回りはリスクの裏返しであり、高利回りエリアには空室リスク・家賃下落リスク・流動性リスクが伴います。 重要なのは利回りの「高さ」ではなく、リスクに見合った利回りかどうかを判断することです。
本記事では、日本不動産研究所の投資家調査(第53回、2025年10月)とLIFULL HOME'Sの統計データをもとに、 エリア別・物件種別・築年数別の利回りデータを整理し、投資判断に役立つ分析を提供します。
キャップレート(期待利回り)全国比較 — 投資家が求めるリターン水準
キャップレートとは、物件価格に対するNOI(営業純利益)の比率で、 投資家が「この立地・物件タイプならこの利回りは欲しい」という期待値です。 日本不動産研究所が半年ごとに実施する「不動産投資家調査」は、 機関投資家へのアンケートに基づく日本で最も権威あるキャップレートデータです。
賃貸住宅(ワンルームタイプ)のキャップレート
| エリア | キャップレート | 前回比 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 東京(城南) | 3.7% | 横ばい | 全国最低。資産価値重視 |
| 東京(城東) | 3.8% | 横ばい | 城南に準じる |
| 横浜 | 4.3% | 横ばい | 東京近郊、安定需要 |
| 大阪 | 4.3% | 横ばい | 関西圏の中心 |
| 名古屋 | 4.5% | 横ばい | 製造業集積地 |
| 京都 | 4.6% | 横ばい | 学生需要あり |
| 福岡 | 4.5% | 横ばい | 人口増加エリア |
| 神戸 | 4.7% | 横ばい | 大阪圏の補完 |
| 札幌・仙台・広島 | 5.0% | 横ばい | 地方主要都市 |
出典:日本不動産研究所 第53回 不動産投資家調査(2025年10月現在)
全10主要都市のキャップレートは前回調査と全て同値であり、1999年の調査開始以来の最低水準が続いています。 これは機関投資家が不動産への投資意欲を維持しているものの、物件取得競争が激しくリターンが圧縮されていることを意味します。
物件タイプ別の利回り相場 — 何に投資するかで利回りは大きく変わる
| 物件タイプ | 表面利回り(全国平均) | 平均価格 | リスク特性 |
|---|---|---|---|
| 区分マンション | 6.86% | 1,994万円 | 少額から始められるが空室時はCFゼロ |
| 一棟マンション | 7.68% | 1億8,245万円 | 複数戸でリスク分散、管理の手間あり |
| 一棟アパート | 8.15% | 7,767万円 | 高利回りだが木造は耐用年数が短い |
出典:セゾンファンデックス 不動産投資の利回り最低ライン(2024年4〜6月期データ)
一棟アパートが最も高利回りですが、これは木造物件の比率が高く法定耐用年数が22年と短いため、デッドクロスのリスクが高いことの裏返しです。 利回りだけで物件タイプを選ぶのではなく、DSCRやIRRを含めた総合的な判断が必要です。
築年数別の利回り — 築20年超で利回りは急上昇するが…
| 築年数 | 区分マンション | 一棟マンション | 一棟アパート |
|---|---|---|---|
| 10年未満 | 4.30% | 5.03% | 6.34% |
| 10〜20年 | 4.64% | 6.50% | 7.46% |
| 20年以上 | 7.64% | 8.22% | 9.51% |
出典:セゾンファンデックス(2024年4〜6月期データ)
築20年を超えると利回りが急上昇しますが、これには理由があります。
- 物件価格の下落:築古物件は価格が大幅に下がるため、分母が小さくなり利回りが上がる
- 修繕リスクの増大:大規模修繕が必要になる時期であり、突発的な支出リスクが高い
- 融資条件の悪化:法定耐用年数の残存期間が短く、融資期間が短縮される → 月々の返済額が増加
- 減価償却期間の短さ:節税期間が短く、デッドクロスが早期に発生しやすい
築20年超の高利回り物件は「利回りの数字」だけ見ると魅力的ですが、実質的なキャッシュフローは表面利回りから想像するほど良くないケースが多いです。 必ずシミュレーションでDSCR・IRR・デッドクロス発生年を確認してから判断しましょう。
利回りの最低ライン — 投資として成立する基準
| 指標 | 最低ライン目安 | 意味 |
|---|---|---|
| 表面利回り | 5〜6% | 経費を引く前の目安。これ以下はCF確保が困難 |
| 実質利回り | 3〜4% | 経費・空室損控除後。実際の収益力 |
| イールドギャップ | 2%以上 | 実質利回り − 借入金利。レバレッジが正に効く最低条件 |
ただし、これらは一般的な目安であり、エリアや物件タイプによって適正値は異なります。 東京都心部では表面利回り4%でもキャピタルゲイン(値上がり益)を含めると投資として成立するケースがある一方、 地方で表面利回り10%でも空室率が高ければ実質的に赤字になることもあります。
データをシミュレーションに活用する
本記事のデータを活用して、以下のような分析を当サイトのツールで実行できます。
- エリア別の比較 — 都心の低利回り物件 vs 郊外の高利回り物件をIRRで比較
- 築年数別のCF推移 — 築浅 vs 築古でデッドクロス発生年がどう変わるか
- 利回り最低ラインの検証 — 自分の借入条件でDSCR1.3以上を維持できる最低利回りを逆算
まとめ
- キャップレートは全国主要10都市で史上最低水準が継続(東京城南ワンルーム3.7%)
- 物件タイプ別では一棟アパートが最高利回り(8.15%)だが、耐用年数リスクに注意
- 築20年超で利回りは急上昇するが、修繕・融資・デッドクロスリスクも急上昇
- 利回りの最低ラインは表面5〜6%、実質3〜4%、イールドギャップ2%以上が目安
- 利回りの「高さ」ではなく「リスクに見合っているか」を、シミュレーションで判断する
実際の物件データで試してみましょう
利回りをシミュレーションで検証する