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2026年度から外国人不動産取得の国籍届出義務化 — 都心7.5%海外マネーへの可視化が始まる

市場・税制最終更新日: 2026年5月8日

2026年度から始まる外国人不動産取得の国籍届出義務化

政府は2025年12月16日に、外国人による不動産取得時の国籍登録を義務化する方針を発表しました。 東京新聞によると、施行は2026年度中で、不動産の所有権移転登記の申請時に国籍を記入させる運用が新たに始まります。 従来、登記情報には国籍欄が存在せず、誰がどの国の出身者かを行政が把握する手段は限定的でした。 今回の改正は「外国人の不動産取得に対する不安を解消する」ことを目的としており、 小野田担当相は「取得情報を適切な形で公表することも検討する」と述べています。

加えて、国土利用計画法の施行規則改正により、外国法人が大規模な土地を購入した際には、 代表者の国籍だけでなく、役員や株主の過半数が同一国籍の場合はその国籍も届出義務の対象となります。 対象面積は市街化区域で2,000m²以上、都市計画区域で5,000m²以上、それ以外で1万m²以上と定められています。 外為法に基づく報告義務も投資目的に限られていた現行から、居住・事務所利用にも拡大される見込みです。

データで見る海外取得の実態 — 23区3.5%、都心6区は7.5%

国土交通省は2026年に、新築マンションを対象とした外国人取得の初の本格調査を公表しました。 日本経済新聞の報道によると、2025年1〜6月時点で東京23区の新築マンションのうち海外住所からの取得は3.5%、 大阪市では4.3%でした。23区を都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)に絞ると7.5%まで上昇し、 都心ほど海外マネーの存在感が大きいことが裏付けられています。

エリア海外住所からの取得割合
東京23区3.5%
都心6区7.5%
大阪市4.3%

国・地域別では、台湾からの取得が192件で最多、続いて中国30件、シンガポール21件と続きます。 中華圏が中心ですが、調査対象は三大都市圏と地方4市の新築マンション約55万戸であり、 国内に住所を持つ外国人による取得は捕捉できていない点には留意が必要です。 実態としての海外マネー比率はこの数字より高い可能性が指摘されています。2026年公示地価で確認した海外投資マネーの過去最大流入とも整合する結果です。

投資家への影響 — 都心マンション・地方リゾート・出口戦略

規制の直接的な狙いは「実態の把握」であり、外国人の取得自体を禁止するものではありません。 ただし国籍情報の公表が現実化した場合、買い手側の心理に影響が及び、 従来「価格を押し上げてきた海外マネー」の流入ペースが鈍化する可能性は十分にあります。 都心高額マンションは海外取得比率が高い分、規制強化局面では需給がタイトになりにくくなり、 将来の出口価格の上昇率が緩やかになるシナリオも想定されます。

ニセコ・倶知安などのリゾート、京都の町家、福岡・札幌の中心部など、 海外プレミアムが価格形成に効いてきたエリアは特に動向を注視すべきです。 反面、海外マネーへの依存度が低い実需中心エリア(郊外ファミリー、地方政令市の標準価格帯)は影響が限定的とみられます。出口戦略ガイドでは、 買い手プールの厚みが売却期間と価格に直結する点を整理しています。

投資家が今すぐ点検すべき3つのポイント

1. 保有エリアの海外マネー依存度を把握する
都心6区・大阪中心部・主要リゾートを保有している場合、海外取得比率の調査結果と公表動向を継続フォローし、 売却検討時のタイミング判断に組み込むことが現実的です。

2. 出口価格の前提を保守的に置き直す
海外マネーによる価格押し上げを前提にしたキャピタルゲイン狙いの投資は、 想定キャップレートを0.2〜0.5%引き上げる感度分析を実施し、感応度分析で IRRがどれだけ低下するかを定量的に確認しておく必要があります。

3. 大規模土地・法人スキームの届出フローを事前確認
法人で2,000m²超の土地取得を計画している場合、施行後は国籍届出が必要になります。 役員構成の確認、外為法の報告対象拡大も含め、 司法書士・行政書士と早めにフローを擦り合わせておくと取引の遅延を防げます。

まとめ — 規制は「禁止」ではなく「可視化」

2026年度施行の国籍届出義務化は、外国人取得を禁止する制度ではなく、実態を可視化する制度です。 ただし情報公表の仕組みが整えば、海外マネーの取得行動が慎重化し、 特に都心6区(7.5%)や主要リゾートでの価格・流動性に影響が及ぶ可能性があります。 いま自分の物件が「海外プレミアム」をどの程度織り込んだ価格になっているかを点検し、 出口前提と感度分析を保守的に置き直すことが、規制施行後のキャッシュフローを守る最も実務的な一手です。

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