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【ケーススタディ】都心ワンルーム2,500万円 — 表面利回り4.8%が月次赤字になる理由

ケーススタディ最終更新日: 2026年5月14日

想定物件 — 都心ワンルーム2,500万円・表面利回り4.8%

東京23区の都心6区にある築15年・専有面積22㎡のワンルームマンションを想定します。 販売資料には「表面利回り4.8%・想定家賃10万円/月」と記載されており、不動産業者からは「都心立地で資産価値も安定」と勧められたケースです。 フルローンに近い借入条件(諸費用込み2,400万円、金利2.0%・期間35年)で本ツールに入力し、実態を検証します。

物件価格:2,500万円
想定月家賃:100,000円
借入:2,400万円 / 金利2.0% / 35年元利均等
運営経費:管理費12,000円・修繕積立金8,000円・固定資産税6万円/年・管理委託費5%
空室率:5%(都心6区想定)

シミュレーション結果 — 「黒字に見えて手取り赤字」の構造

本ツールに入力した結果、年間NOI(営業純利益)は約66万円となりました。 一方、年間ローン返済額(ADS)は約95万円。これだけで税引前キャッシュフロー(NOI − ADS)は約▲29万円と、すでに赤字に転落します。 さらに、固都税・管理委託費は減らせないコストであり、月単位の手取りキャッシュフローは▲2.4万円。 都心ワンルームは「家賃が下がりにくい」一方で、表面利回りが低くLTV(借入比率)が高いと、金利上昇局面で簡単に赤字化する構造です。

指標金利2.0%金利2.5%金利3.0%
月額ADS約79,490円約85,795円約92,335円
月次CF(運営後)▲約24,000円▲約30,000円▲約37,000円
DSCR約0.69約0.64約0.60

DSCRは1.0を大幅に下回り、 家賃でローン返済をカバーできていない状態が継続します。 毎月3万円弱の持ち出しを許容できるかが、購入判断の本質的な分岐点です。

節税効果と実質コストの比較

販売資料が強調するのは「年収700万円なら年間20-30万円の節税」という説明です。 確かに減価償却(建物1,500万・耐用年数32年で年間約47万円)と支払利息で帳簿赤字を作り、給与所得と損益通算すれば所得税・住民税が圧縮されます。 ただし、節税額は実質的に「キャッシュアウトの一部戻し」であり、上の表の年間▲29万円の赤字を完全に埋めるほどの効果はありません。減価償却シミュレーターで 節税額を年単位で確認し、実質コストを判断してください。

出口戦略の壁 — 35年後の残債と売却価格

35年後の売却を想定すると、築50年のワンルームが現在の2,500万円水準で売れるかが論点になります。 都心6区は希少性が高いため大幅下落は限定的との見方もありますが、 建物の経年劣化・大規模修繕費の積み増し・サブリース契約の終了など、保有期間中のコスト負担も無視できません。出口戦略ガイドで 売却価格−残債−譲渡所得税を段階的に試算することを推奨します。

このケースから学ぶ3つの教訓

1. 表面利回り5%未満×フルローンは赤字確定の組み合わせ
都心立地でも、LTV90%超では金利・経費を吸収する余地が極めて小さく、購入直後から月次赤字になります。

2. 節税は「赤字埋め」にしかならない
節税効果単体での投資判断は危険です。節税後の実質手取りで黒字化するかを最低基準にしてください。

3. 金利+1%のストレスで耐えられるか必ず確認
金利2%→3%でCFは月▲13,000円悪化します。感応度分析で 金利・空室・家賃下落の3軸を必ずストレスしてください。

まとめ

表面利回り4.8%の都心ワンルームは、フルローンに近い借入で買うと月次CFが赤字、DSCR0.7と返済余力なしの状態になります。 節税効果は赤字の一部を埋めるに過ぎず、本質的には「現金を毎月持ち出す投資」になりがちです。 購入判断は実質手取りCF×金利ストレス耐性×出口価格の3点で必ず再評価してください。

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