【ケーススタディ】自己資金1,500万円 — 都心ワンルーム3戸 vs 郊外戸建賃貸2戸 直接比較
シナリオ — 自己資金1,500万円、ワンルーム3戸 vs 戸建賃貸2戸の選択
投資家からよく聞かれる「同じ自己資金1,500万円なら、都心ワンルーム複数戸と郊外戸建賃貸どちらが有利か?」という問いを、実数値で比較します。 本ツールに2つのポートフォリオを入力し、10年間のIRR・税後CF・出口リスクを並べて検証します。 前提条件: 年収800万円・限界税率33%(所得税23%+住民税10%)の会社員投資家。
パターンA — 都心ワンルーム3戸ポートフォリオ
借入:6,500万円(LTV90%)/ 金利2.2% / 35年元利均等
自己資金:頭金700万円 + 諸費用550万円 = 1,250万円
年家賃:3戸合計360万円(月10万×3戸)
運営経費:管理費+修繕積立金+管理委託費+固都税 = 約120万円/年
空室率:8%
EGI=360×92%=331万円。NOI=331−120=211万円。 ADS=約265万円。税引前CF=211−265=▲54万円。 減価償却(建物4,200万÷耐用32年≒131万円/年)と支払利息(初年約140万円)の経費計上で、不動産所得は約▲130万円の赤字。 税効果込みで税後CFは年▲54+43=▲11万円。実質ほぼ収支ゼロです。
パターンB — 郊外戸建賃貸2戸ポートフォリオ
借入:2,500万円 / 金利2.8% / 15年元利均等
自己資金:頭金1,100万円 + リフォーム+諸費用400万円 = 1,500万円
年家賃:2戸合計204万円(月8.5万×2戸)
運営経費:管理委託費+修繕費+固都税 = 約65万円/年
空室率:12%
EGI=204×88%=180万円。NOI=180−65=115万円。 ADS=約204万円。税引前CF=115−204=▲89万円。 減価償却(建物2,000万÷耐用4年=500万円/年)と支払利息(初年約65万円)の経費計上で帳簿は大幅赤字となり、 税効果は年約180万円。税後CF=▲89+180=+91万円。初期4年は税効果で大きく黒字化します。
10年保有・IRR比較
| 指標 | パターンA(ワンルーム3戸) | パターンB(戸建2戸) |
|---|---|---|
| 10年累計税後CF | 約▲100万円 | 約+400万円 |
| 10年後のローン残債 | 約4,750万円 | 約750万円 |
| 出口想定価格(現状維持) | 約6,800万円 | 約3,000万円 |
| 売却時手取り(譲渡税控除後) | 約1,400万円 | 約1,900万円 |
| IRR(10年) | 約2-4% | 約9-12% |
この前提条件下では、戸建賃貸2戸のほうが10年IRRで約7ポイント上回ります。 ただし、シナリオは前提次第で逆転する可能性があります。 都心ワンルームは出口価格の上昇(+10-20%)が想定できれば、IRRは6-8%レンジに改善します。感応度分析で 出口価格・家賃・空室率の3軸を必ず動かしてください。
両者のリスク・運営難易度
都心ワンルームのリスク: 金利上昇への耐性が低い、家賃の上振れ余地が小さい、サブリース解約時の家賃下落、3戸分の管理組合対応コスト。
戸建賃貸のリスク: ファミリー入居期間は長いが退去時の原状回復費が大きい、リフォーム上振れリスク、相続時の分割の難しさ、修繕の自主対応必要。
運営面では、ワンルームは管理組合任せで手間が少ない反面、家賃と運営費の改善余地が限定的です。 戸建は管理組合がないぶん、DIY賃貸・リフォーム差別化・家賃上昇余地という自分で稼ぐ余地がある一方、家主側の労務負担も大きくなります。
このケースから学ぶ3つの教訓
1. 同じ自己資金でも投資商品でIRRは大きく変わる
利回り・税効果・出口価格の組み合わせが、IRRを2-3倍変える要因です。
2. 都心ワンルームは「出口価格の上振れ」が成立条件
現状CFがマイナスでも、出口で勝つ前提でなければ投資は成立しません。
3. 戸建賃貸は「短期償却の節税」が初期CFを支える
税効果が消える5年目以降のシナリオまで含めて評価する必要があります。
まとめ
自己資金1,500万円で比較すると、現状の利回り・金利環境では戸建賃貸2戸のほうがIRR 9-12%と都心ワンルーム3戸(IRR 2-4%)を大きく上回ります。 ただし、都心マンション価格の上昇継続を強気に見るならワンルームの逆転シナリオもあり得ます。 結論ではなく、自分の前提でツールに入力して数字で比較することが投資選択の正攻法です。
実際の物件データで試してみましょう
自分の前提でIRRを比較する